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2025.07.21
【研究ニュース】AIと日本近代文学が対話する検索システム「Humanitext Aozora」を公開

当センターの岩田直也准教授、桜美林大学の田中一孝准教授、東京大学の小川潤助教らによる「Humanitextプロジェクト」は、2025年7月21日、青空文庫の文学作品群を対象とした対話型AIシステム「Humanitext Aozora(ヒューマニテクスト青空)」を一般公開しました。本システムは、大規模言語モデル(LLM)と検索拡張生成(RAG)技術を組み合わせることで、研究者、学生、そして文学を愛するすべての人々に、日本近代文学との新たな関わり方を提供します。
【プロジェクトの背景と目的】
青空文庫は、多くの読書家に愛されている日本最大のデジタルライブラリーであり、人文科学研究の貴重な基盤でもあります。これまで主に個々の作品を読むために利用されてきましたが、「Humanitext Aozora」は、この膨大なテキストデータに対し、最新のAI技術を用いて大規模な意味検索や対話といった、これまでにない新しい活用法を提案するものです。利用者は自然な対話を通じて、作品の深い内容理解や、複数の作品を横断するテーマの探求を手軽に行うことができます。
【Humanitext Aozoraの主な特徴】
本システムは、高度な検索機能と、利用者の目的に合わせた4つの対話モードを備えています。
①高度な検索と絞り込み機能:
作家名、作品名、ジャンル(日本十進分類法に基づく)で対象文脈を細かく指定できます。これにより、特定のテーマに関する記述を複数の作品から抽出するなど、精密な調査が可能です。
②4つの対話モード:
●Q&Aモード: テキストに関する事実に基づいた正確な回答と、検証可能な出典(作品名、節番号など)を簡潔に返します。
●詳細解説モード: 文芸研究者のように、複数の典拠を比較・分析し、時代背景などを補足しながら深い解釈を提供します。一般の読者が作品への理解を一層深めるための補助として最適です。
●対話モード: 夏目漱石や芥川龍之介といった文豪や、その作品の登場人物になりきったAIと自由に対話できます。文学の世界をより身近に体験できるモードです。
●創作モード: 指定した作家の文体やテーマをAIが学習し、そのスタイルを模倣して新しい文章を創作します。
【今後の展望】
「Humanitext Aozora」は、デジタル・ヒューマニティーズ(人文情報学)分野における新たな研究ツールとなることを目指しています。本システムの公開が、日本近代文学研究の新たな可能性を切り拓き、より多くの人々が古典作品の魅力に触れる一助となることを期待しています。
【システムへのアクセス】
「Humanitext Aozora」は以下のリンクからどなたでもご利用いただけます。日本近代文学の新たな扉を開く、この対話体験をぜひお試しください。
URL: https://aozora.humanitext.ai
【関連情報】
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URL: https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2507/24/news040.html
【開発チーム】
- 岩田 直也(名古屋大学)
- 田中 一孝(桜美林大学)
- 小川 潤(東京大学)
【謝辞】
本プロジェクトは、以下の助成金の支援を受けて実施されています。ここに記して深く感謝申し上げます。
- 萩原学術振興財団 2024年度(第5回研究助成)
- 三菱財団 人文科学研究助成 2024年度
本取り組みに関するお問い合わせは、以下の連絡先までお願いいたします。
連絡先:iwata.naoya.y7[あっと]f.mail.nagoya-u.ac.jp
※[あっと]を@へ変更